却下台本「ブリーフマン1967」

2015.06.07.Sun.04:01
友人と作成してお蔵入りした台本。
これを声当ててどっかにアップロードしようかという話にまでなったが、一晩寝て、死にたくなった。
もう意味がわからない。
台詞以外はナレーションになっている。
その友人が結婚するので記念に晒す。

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そいつはオールナイトニッポンの始まった、そう、1967年
あのどうしようもなく寒くてしょぼくれた秋の夜の、しょぼくれた話だ。

(音楽GS)

おれはその日、一緒にグループサウンズのバンドをやっていた「戸松」ってやつから一方的に賭けを持ちかけられた。


戸松「よーく聞け、トミー?俺ァな今日のライブでのぞみちゃんにプロッポーズするぜぇ?」

ハッキリ言って、戸松はかなり危ないやつ、なにかっていうとブリーフを頭に被ってよく笑っている、いつのまに脱いでるんだってくらいさ、お調子者なんて言葉じゃすまないくらいキマっているやつだ。
まぁ、だからこんなことをいきなり言ってもおどろかないんだけどな。

メンバーはこいつの奇行については誰も触れない、ブームに乗ってレコード会社が無理やり作ったグループということもあったせいなのか、仲間内でのプライベートにはあまり干渉しないようだ、事実、俺もほかのメンバーとの交流はない。

戸松、いいやつではあった。リハーサルでのおどけたしぐさや、毎日のように考えてきてはメンバーとスタッフにだけ披露するブリーフかぶり、乳首洗濯ばさみ、ケツ筍、カップヌードルオナニー、念パワー、刺身タンポポなどの体を張った芸を考えると、根はいいやつだとわかるし、何もなければ素直に応援したかった。
・・・・しかし、俺にはそれがはできなかった。

トミー「ハァ…よせよブリーフ・マン。辞めとけって、笑い者になるだけさ」

戸松「へっへー、お前、まさかオレにのぞみちゃん取られるのが嫌なのか?」

トミー「いや違う・・・それは、、、プロポーズなんてのは、ライブの時、、することじゃないだろ?それに、取られるなんて…」

戸松「うっそつけぇ~!がっはっはっはっ!!」

ああ、確かに、ウソさ。
ブリーフマン、いや、戸松、お前には隠していたが、のぞみはオレの彼女だ。
だからお前の賭けってやつはそれこそ、最初から勝てる望みなんてないのさ

戸松「でよ、プロポーズが成功したらお前にはオレへのご祝儀として白いブリーフを作ってもらう。もしダメだったら、オレは今夜のステージ、ブリーフをその場で脱ぐ!」

トミー「勝手に話を進めるな、というか、何故そこまでブリーフに拘る?」

万が一もないが、まぁ仮に成功してもだ、オレはブリーフなんて作る気はない、彼女を奪った男に作るわけがない、しかし、もしダメならこいつは警察のお世話になり、オレと約束したとか言って、俺も巻き添えに、って、あれ?これって俺、軽くピンチじゃないか?

戸松「なんだ?安心しろ。オレはサイズにはこだわらない、むしろ、人間ってのは、ダルダルっくらいがロックンロールだって、ブルージーンズの裕也さんが言ってたぜ」

ピッチリ派として、そこは拘れと言いたかったが、まぁ内田さんの言葉じゃ仕方ない。

戸松が、彼女に対して自信過剰なところを見せるのが腹立たしかった。
だが、一方で成功すること前提で、自分の夢を打ち明けるその無邪気さが胸に突き刺さって離れなかった。

その解決策を考える時間は、悩み、考え、そして時計を見るたびに減っていき、いよいよ司会者が紹介を始める瞬間さえも、何も、言葉が浮かばなかった。

司会者「レデイースエンドジェントルメン、今夜も財布にお金はない!宵越しの銭は持たない主義を貫く、門前仲町の宣教師、おまたせしました、ザ・キングボクシーズの皆さんの登場です!」

暗転。

歓声SE

熱狂の中でステージは終わった、汗だくになったメンバーと、客席の鳴りやまない拍手、女の子の悲鳴のようなラブコールの中で。

トミー「ああ~こん畜生め、ったくなんだってんだい、今日のステージは!」

俺はこれまでになく手ごたえのないステージを後悔していた。
いったいなぜ、こんなにも浮ついてしまったのか。

戸松「えー、テス、テス、まぁ散々歌ったけど・・・あのー、えー、皆さんに大事なお話があります。実は、この会場に、オレの好きな人がいまーす」

俺は心臓にメンタムを塗りたくられたような気分になった、そうだった、俺は最大の問題を忘れていた。

観客と、その中に紛れるのぞみの視線が、さっきまで俺に向けていたあの目が、ふいに戸松に注がれる。オレの前では堂々と言い切ってた戸松も、いざ本番になると緊張するらしい。


戸松「アあ”ん、んんつ、オホン、えー、のぞ…、のぞみッちゃんッ、つ付き合ったこともないげど、オレど結婚しでぐれぇ」

観客がざわめくなか、のぞみは1人唖然、茫然としていた。
ん。まぁ。そりゃそうだろうな。他に好きな人がいるなかプロポーズされたんだ。

しかも、相手はオレの友人、いや、バンドのメンバー。希、こんな事になってごめんな…俺も腹ぁくくった、マネージャーに言うよ。
もうこいつを解雇してほしいって…

のぞみ「どうしていきなり?私、あなたのこと何も知らないのよ?」

戸松「のぞみっぢゃん!」

ジャカジャーーーーン!(ギターSE)

突然、戸松がギターを鳴らしはじめる。続くようにドラムとベースが音を調べ始める。リズムギターの自分と観客は口をあんぐりさせ、とにかく戸松の口から語られるであろう言葉に耳を傾けた。って、あれ?何だ?この状況?

戸松「君のために歌います!」

【メロ適当に歌う】

愛・愛・ラブ・ラブ  会い・ミーツ♪
会いに行きました  錦糸町
赤線、ちょんの間、トルコ風呂  おれたち毎晩出会っていたのに
化粧で全然わからねぇ  鎖骨のほくろでわかったけどね
ぼくの愛しきマ~リリンちゃ~ん
ヌルヌルしようぜ 夜の場外馬券売り場~   アウイェー!♪

のぞみ「アイラァーブリーフ…ああ…まさか、そんな!」


もはやなにもかも、理解できなかった。
まず、なんでこのオリジナルソングをほかのメンバーは演奏できるのか。
そしてなぜ、観客がその歌に続いて歌うことができるのか。
そう、いま観客席から合唱が起きているのだ。
いま、置いてけぼりなのは、おれと、のぞみだった。
しかし、そののぞみも誘われるようにステージへ駆け寄る。
なにやってんだ!よせ!いくな!おいていかないでくれ!
観客からは拍手の嵐、ステージに現れたのぞみをとめようと立ちはだかった。

トミー「愛してる!のぞみ!お前だってトミーラブ、アーユーオーケイ?」

しかし、その俺をのぞみは邪魔として、天井からの映像で見るところのハーケンクロイツを象るような美しくも強烈な左ストレートをくりだされる。こいつ!サウスポーか!おれはあっけなく吹き飛ばされ、そのままコントのようにスピーカーにつっこんで沈む。のぞみも、あのパンツ野郎もメンバーも観客どもも、俺など見ていなかった。
彼女はおもむろに、やけに慣れた手つきで素早く戸松のブリーフを脱がせて、かぶせる。

のぞみ「やっぱり!あなただったのね、夜のエリモジョージことブリーフマン!」

戸松「アイラァーブリーフ…アイウィッシュアホープ、ン~~ン~♪」

ブリーフ越しの熱いキスを交わす二人。

戸松「みんな、オレたち幸せになるぜぇーーーー!アイラァーブリーフ!ラブ&ピース!天皇陛下に万歳!!がっはっはっはっ!!」
この日、一組の夫婦が誕生した。その光景を目の当たりにした観客は、戸松の歌に合わせ大合唱で祝福した。
もはや誰も失恋したトミーを見向きもしなかった。
ギターを壁に立てかけ、ふらふらとした足取りでステージを降りると、バーカウンターに置かれたピンク色の公衆電話にもたれかかり10円玉を入れ、トミーは迷いもなく3桁の数字を押した。
電話SE

のちに、この奇跡的なフルチン・ウエディング逮捕劇をお忍びで見ていたという、とある世界的ミュージシャンのカップルは、翌年に発売したアルバムジャケットの参考にしたと、一部週刊誌で報道された。

(BGM:ジョンレノン「ラブ」)

ジョンレノン「ニホンノ、ミナサン、コンニチワ。セカイ、ヘイワノタメニ、ウタヲ、ウタイマショウ、オッパブ、ホテトル、トルコブロ~、ウーマン、ノットイズ、ニガー、オンザワールド」

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