ロールキャベツ

2016.11.03.Thu.01:56
銭よ銭よと下賤が泣く、秋の夜の風景。

今年も年を超えられない独居老人
今年も暖かいゴミ捨て場に寝るホームレス
そんなのはどうだっていいんだ
かわいそうねと同情をすることが救いだろう
だって自分が大変なのだから

やってけない、やってけない
だめだ、だめだ
なにが景気がいいものか
台湾旅行の計画はご破算だ

と、呟く同じ会社の社員は正社員
うらやましいよ、と思うは

頭が悪くて入れなかった契約社員
せいぜい携帯料金と親に借りている食費を返して
あとはちょっと高いDVDのセットでも買えればいいかと

12月の日を思う
きっとその頃のビルの下に

昼までの仕事明けのコンビニ店員が1人
会社を辞めて10年、もう50、実家住まい。
ハゲで白髪、ワイシャツは染みだらけ。
ああ。
ボーナスなどないが、12月のクリスマスくらい
新しいワイシャツとネクタイくらい買おう
ケーキはどうせ買うのだし。
大晦日まで仕事だが、新年になったら着始めよう
かわりに1着汚いシャツを捨てよう。
こんどは2月の誕生日に、またワイシャツとネクタイを買おう。

そう誓って男が夕方から閉店まで仕事に入るスーパーから
入れ違いに出てくるパート帰りの主婦は

それにつけても葉物野菜がまだ高い。
レタスが高い。
キャベツが高い。
レタスはいいけどキャベツは痛い。
あれだけ食べれたものなのにと
少し金を出せばそれは買えるが
明日を犠牲にできない
ゆえに、なかなか手が出ず
ずっと想いはせる
暖かいロールキャベツ。
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水子よ君は

2016.08.30.Tue.03:37
水子は今
鉄扉の先で
ガスの炎に包まれて

焼かれる音を聞く喪服の夫婦は
鉄扉を眺め泣く女
口を結んで前を見る男

ガスの火の
ごおお、という音が耳に残る
残酷の炎も、鉄扉のなかで
2人はその中のことを見ることもできないで
時間は過ぎていく
隔たりを前に
火葬場の者も声をかけられず

親子になれなかった夫婦は
ゆっくりと、二人は
水子よりもゆっくりと
消えゆく日々を
親子になれなかった夫婦は過ごす
あと60年、70年
いつまで続くのだ
そしてその時がきて
君はその時どこにいるだろうか
水子よ君は
もう一度、あの悲しい
愛おしい顔を見せてくれるか


~~~~~

長かったのを省略。
ボツネタ。

カエルの唐揚げとカエルの茹でもの

2016.07.07.Thu.03:14
貯め池の
でかい蛙はこのままじゃあ
真夏の温度で茹で上がる
そうだ
中国飯店で揚げた蛙を
食ったら意外とうまかった
そう、出かけよう、あの店に
あのカエル、いずれ
カラスが死がいを啄むだろうか
いやイマドキは、グルメなもので
朝、ゴミ捨て場
HDMI端子ケーブルを引き抜き、どかし
一緒の袋に入ったピザの食いかけ
美味そうに漁る横に
浮浪者がケーブルを回収
カラスは一度逃げ
再び戻ってくるまで、ちょっとの間
待っててくれよといそいそと
LANケーブル、ACアダプターを取りだし
自転車は去り、カラスは戻る
カアと鳴き
俺が通ると
なんだこの野郎と睨む
お前こそ
ナニサマだと思う
所詮
自然にもどったって食うものは
あるじゃないか、カエルとか
人間は、自然の中のものはそう食えん
まぁ
だから領域をぶち壊し俺達は
道を作り、家を建て、電線を張り巡らし
飛んで逃げ去り乗っかった
ネットの回線で今ここに書く
なんだかバカらしい
カラスよ、俺もお前の飯を揚げて食うのに


~~~
特に考えは無し。
半年ぶりに煙草を吸ってしまったら浮かんだ。

ATMの看板の下、エロ雑誌のある辺り、外。

2015.11.01.Sun.03:37
帰るくらいなら、寄って行こうか
誰も居ない家なんて、俺は知らない
家賃を払うほど、俺は居ないけど
待ってくれる女も、俺には居ないけど
寝る時はひとり、眠る瞬間に、帰ればいい

おでんを買って、手を温めた
食い切り、残った汁の中には煙草の吸殻
ピロリロリンと、開く間抜けな音のドアから僅かに
ビートルズが聴こえる、古臭く寒い「シー・ラブズ・ユー」
今夜は冷える、日付も越えたし、それでも流すのか?

人生、長く、長く、長く、長く、感じていたのはガキん頃だっけ?ってな
しかし「人生」なんて単語繰り出すのは愚かだとこないだまで思っていたが
考えなくちゃならねぇ歳になるまでいったなと、先に死んだやつらを思うとな
自分の家族、親せき、ダチの家族、お世話になった人たちは
どんどん変わっちまったし、ガンガン死んじまった

まぁいいさ、そんなこと、昨日も考えていたし、また明日の今頃考えるだろうし
大して不思議でもなんでもないが、そうやって
気がついたら終わる
それが俺の人生かもしれん

眠ろう、さて、眠ろう明日は
考えなしの、悪口が趣味の、偉そうな野郎相手に
ニコニコしなくちゃ、ご機嫌伺いだからよ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

自分は「帰宅」に関する詩や短編が多い。
出て行く時や行った先よりも、帰る時のほうがひねくれているので
自分が書きやすいというところがある。

人は動かないと人形

2015.10.19.Mon.19:21
1番

どうしようもなく高いビルの下から
手を翳さないでいるのは
屋上に手が届くほど
自分の手が長くもなく
自分の背が高くもないと知っているから
自販機の上ならもしかすると
手を置けるかもしれないと知っている

そんな「知っている」あんたは
自力ってやつにこだわって
背伸びを嫌い
背の高いやつを
才能や恵まれた環境によるものだというし
物を使って届こうとするやつを
卑怯だとか、怠惰だと言う

待ってくれよ、俺たちは猿じゃない
何をしたっていいじゃないか
方法が間違っているかどうかなんて
それは決められた文章以外うろ覚えな社会が決めることで
じゃあ、あんたは誰の正義にも従わない生き方をする
一生そうなのか?


2番

時間がさっさと進んでいくようになった今
取り残された人たちを、当たり前のように先頭を走る奴らは忘れていく
でも、足跡を残していったのに、先頭の鼻の穴に釣り針を刺しちまった
「コーヒーを飲んで煙草を吸って外の空気に触れて読書をする」
それらを奪う権利はないのだと
いきなり言い出すわけのわからないものに成り下がる

そんな「訴え」をするあんたは、愛と平和を誰もが忘れたと
奴らは軍産複合体の労働者だと決めつけに来る

ちょっと待ってくれ、議論の余地もないのか
社会民主主義の恩恵のなかにあるくせ
別に訴えることを規制なんてしちゃいないのに
この国が嫌だっていうならばどこにだっていけばいい保証もあるぜ
革命が起こしたいならお好きなように
でも、正直を言うと
あんたも人並みに歩けば
なにかの可能性だってあるかもしれないんだから
できれば歩いてほしいんだ
日常に必死で、ただの雑音にしかならない
そんな、正直人間にとって今はどうでもいい言葉を並べずにさ
あんたは研究者じゃないんだから
一生そうもやってけんだろう?