グッドナイト・トレイン

2014.12.27.Sat.03:08

眠ってる。
何がいいのか、よくなかったのか。
どいつもこいつも、眠っている。

網タイツのベーシストがドアに寄りかかって眠ってる。
いいね。

カツラのじいさんはズレている。
面白い。

プログラマーの男はシートを半独占、落ちたパソコンは三枚に下ろされている。
大変だ。

遊園地の風船が網棚につっかえて、眠たげな母親が、眠った娘のよだれを拭う。
お疲れさま。

コンッと音がした。
ああ、きっと後ろのおじさんの缶チューハイが落ちたんだろう。
おじさんのビジネスカバンがびしょびしょだ。
車内で飲む奴が悪い。

シートの隣の工事現場帰りのお兄ちゃんはアプリゲームは「つづける?」のまま。
電源なくなりそう。

次は、
という機械の声に
みんなが一瞬顔を上げて、
また眠る。

俺の駅だ。
快速が停まらなくって、
あまり降りる奴のいない駅だ。

俺は立ち上がってドアの前に立つと
赤ん坊の視線を見つけた。

俺と
バーを掴んで座って眠る赤ん坊の母親とを交互に見ている
不思議そうに。

坊や。
もしかして、俺もいま夢の中?

ドアが開く
尋ねて吐いた息は白くなる。
まぁそうだ
そんなわけがねぇんだ。

でもそれは
なんとなく、
なんとなくなんだけど

答えの言葉も出ないまま
去っていく列車の赤いランプを
闇に消えるまで見送った。
まだ見えるところでカーブしたけど

おやすみ。

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